ひびわれたまご

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ひびわれたまご

大人の発達障害(ADHD)当事者のイラストレーター・志乃が、生きづらさや”楽”について考えるブログ。

痴漢を撃退した時の話

日々の考察
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多くの日本女性にとって、初めて出会う「性的なもの」が「痴漢」であるという現状について - Togetterまとめ

 

私が「子どもを産んで育てる覚悟」について先輩方にお話を伺っている頃Twitterでは痴漢に関する話題が白熱していたようですね。被害にあったことのある女性のひとりとして、思うところがありましたので、書き残しておこうと思います。

 

私が痴漢にあったのは、電車ではなく、有名古本屋チェーンの店内ででした。人生で2度、痴漢の被害に遭いましたが、どちらもその古本屋チェーンの店内でです。女性が立ち読みに夢中になり、周囲への注意力が散漫になっている隙を狙っての犯行なのだと思います。

 

「女性側の服装にも問題があったのでは?」という問題提起がもはやお約束ですが、仰る通り、2度とも、めったに履かないスカートを履いている時でした。

 

私は「性別以前に、ひとりの人間として認識して欲しい」という願いから、いつもジーパンを着用していましたし、常に色気のない格好をしていました。そんな感じで、女として認識されたくないという気持ちの強い、男性からしたら非常に面倒くさい女だったので、よく男性側から言われる「隙があったのでは?」という問いには「NO!」と力いっぱい答えることができます。

 

そんな鉄壁ガードの女でも狙われる。そう、スカートならね。

 

めったに履かないスカートを履いた時に限って痴漢に遭うので、ますます履かなくなりました。ミニスカートでもなんでもない、膝が隠れるくらいの地味なスカートです。奴らの脳内では「スカート」は女の象徴で、スカートさえ履いていればそれでいいのかもしれない。すごい。すごい直情的。

 

では、スカートを履かなければいいのか。

きっと、そういうわけでもないんでしょうね。その痴漢の感じる「女」のポイントさえ抑えていれば、あまり関係ないのだと思います。世の中、色んなフェチがいますから。「服装に問題があったのでは?」というなら、「どんな男の性欲も刺激しない服装を心がけるべきだ」という話になり、「そんな服はこの世に存在しない」、という結論になります。

 

さて、そろそろタイトルの通り、撃退した時の話をしようと思います。

その時わたしは、古本屋で漫画を立ち読みしていました。すると、立ち読みしている私の背後を、何度も不自然に行ったり来たりしている男の存在に気づきました。4,5往復した頃、触れるか触れないかのギリギリのラインで、手の甲を私の尻にスライドしてくるようになりました。

 

地味。

 

すごい地味。

 

そして微妙。

 

微妙過ぎて(勘違いかな?冤罪だったら申し訳ないし)と、女性に思わせる。姑息。すごい姑息。

7往復目くらいでさすがに(…あ、これ痴漢だわ)と確信した途端、ものすごい怒りと、恐怖と、屈辱と、悲しみの感情が湧き上がりました。あの激情は、経験した者でないと分からないと思います。

 

今、この男は、私の人格と人権と感情を無視し、自分の欲望を吐き出すためだけの、ただの性対象として、私を利用し、それを何とも思っちゃいない。

 

キレました。

静かに、キレました。

 

気づかないふりを続けながら、私が感じた恐怖を、倍にして返してやろうと決意。

犯人が尻に触れるか触れないかの瞬間、真顔で回れ右。ビビる犯人。

顔を見てみれば、ヒョロっとしたモヤシっ子系男子学生。

色々と察して、この卑怯者が、と怒りがますますヒートアップ。

無表情のまま、一歩、また一歩と犯人に近づく私、逃げる犯人。

走ったら怪しまれると思ったのか、早歩きで逃げる犯人。

無言・無表情のまま、一定のスピードでつかず離れず追いかける私。

 

なんだこれ。

 

そうして店外に出た後で、おもむろに携帯を取り出して、私はこう言いました。

 

「…あ、もしもし?…わたし今、痴漢の後ろにいるの…」

 

メリーさんかよ。

 

それまで早歩きで一生懸命逃げていた痴漢は、それを聞いた瞬間、半泣きになりながら走って逃げていきました。

 

その話を帰ってからした所、全員から「そんな危ないことすんな」と叱られましたが、自分の力で撃退したことで、私のプライドと自尊心は救われました。あそこで何もせず泣いて帰ってきていたら、こんなふうに笑い話(?)に昇華することもなく、一生忘れられないトラウマになっていたと思います。

 

一番大事なのは、どんな服装をしていたとか、どんな隙があっただのの反省ではなくて、痴漢によって傷つけられた女性のプライドと自尊心を、どうやって回復するかなのだと思います。そこを踏まえず、「お前も悪かったんだ」と叱責することは、余計にプライドを傷つけるだけなのです。

 

逆に聞きます。

「世の男性全員の性欲を刺激しない女性の格好」ってどんなものですか?